上顎分節骨切り術の特徴と危険性
上顎分節骨切り術は口腔内から手術を行います。上顎の、前から4番目にある第1小臼歯を左右それぞれ抜歯し、右側3本左側3本の合わせて6本の前歯を後方に移動させることになります。この抜歯と上顎の移動に際して、まず上顎の歯肉および頬の内側の粘膜を切開します。通常は抜歯予定の第1小臼歯か、あるいは次の第2小臼歯の位置まで、水平に粘膜切開を行ないます。
次に骨膜を剥離し、上顎骨を露出させてから第1小臼歯を抜歯します。この周囲の部位は血流が豊富なため、細胞や骨が壊死する心配はありませんが、もちろん血管を傷つけ過ぎることは危険です。腕の良い医師であれば、最小限の幅で剥離しますので、必要以上の出血はありません。
次に、上顎の一部をラウンドバーで骨切りすることになります。まず、抜歯した第1小臼歯の歯槽骨をラウンドバーを使って切除した後、上顎骨に骨切りを施します。骨切り後、適切な位置に骨を移動させます。上下の歯の噛み合わせを確認した上で、上顎の歯列をチタン製マイクロプレートで固定します。
さらに、鼻翼の基部同士を糸で引き寄せる処置を施し、鼻翼幅が拡大してしまうことを防ぎます。この処置を上手く行うことで、手術後、鼻翼の幅が広がることはありません。手術時間はおよそ2時間です。歯科矯正では1年から2年はかかる出っ歯の矯正が、1日で治せるというメリットがありますが、上顎の後方への移動には優れた技術を必要とします。
上顎分節骨切り術のデメリット
移動位置を誤った場合は、上下で歯が噛み合わなくなります。
また第1小臼歯を抜歯したため、どうしても3番目と5番の歯の間に若干の隙間が残りますが、優れた医師であれば、最小限に抑えることができます。ダウンタイムは1、2週間で、2週間目に口腔内の抜糸を行います。その期間中の食事は、熱い物や刺激物は避けるようにします。この上顎分節骨切り術は、美容外科の中では手術例の多い方法です。
しかし上顎だけではなく、鼻から口元、そして顎先までのバランスを考えなければ、美しい顔立ちは実現しません。そのため、手術前に頭部X線写真を分析したり、咬合模型を作成するなど、綿密な手術方針を立てる名医を選ぶことが重要です。