顎の水平骨切りの概論
通常、顎と呼んでいる部位は、医学的にはオトガイと表現されています。下唇からオトガイ先端までは、平均して女性でおよそ35mmです。この部位を短くするには、まずオトガイ骨を水平に切除する場所を決め、その上下に、2本の切れ目を入れることになります。水平方向に2本の骨切りが行われたなら、中間部分の骨を中抜きします。
さらに下のオトガイ骨を上部に移し、骨同士を固定します。固定はチタンプレートを使用します。この時、上と下で段差が出ることがあり、その場合は骨を削って修正します。良い腕を持った医師であれば、ここでなめらかに上下の骨をつなぐことができます。
同時に、オトガイ先端部を削り、幅を狭くすることも可能です。全体として最大8mmから10mm程度、オトガイ骨を短縮できます。骨の形状によっては、エラに近い部分まで骨の外側を削るなどして、フェイスラインを整えます。
リスク(オトガイ神経損傷やデザインミスなど)
非常に技術を要するため、名医でなければ、手術後に思ったような顔立ちにならないリスクがあります。ベテランの医師であれば手術前に入念に計画を立て、模型などを作成して、説明をしてくれます。手術時間はおよそ80分から90分で、全身麻酔によって行われます。切開は口の中から行いますので、外に傷が残ることはありません。ただし、下の4番目の歯である第1小臼歯部より少し唇側から切開するため、粘膜剥離の時に、左右のオトガイ神経が傷つくリスクがあります。
オトガイ神経は下顎骨のオトガイ孔を走り、下口唇や下顎の前歯の部分や小臼歯、そして頬の粘膜の感覚を支配している大切な神経です。神経が損傷を受けるとこれらの部分が麻痺し、後遺症として残ってしまうため、経験豊かな医師を選ぶことが大切です。ダウンタイムはおよそ1週間から2週間で、14日目頃に抜糸をします。それまでは、固い物や熱い物を避けた食事を摂り、安静にしています。この期間中に何か違和感があれば、すぐに相談できるような、アフターケアの充実した医師を選ぶ必要もあります。精密な技術を必要とする手術のため、成功実績の豊富な美容外科を選ぶことが重要です。